ジャズダンスとフラメンコ
先日、縁あってジャズダンス公演「Reborn II」を観に行った。20代の頃大好きだったジャズダンスの世界にタイムスリップした瞬間だった。音楽、振付、ソフト帽、サスペンダーパンツ、全部大好き。今でも好きである。
過去を振り返らない、忘れていく私だが、踊りに関しては別である。踊りたくなってしまって、じっと座っていられない。前のめり状態でノンストップの1時間半弱。
踊る楽しさの原点は音楽
音楽ありきで、好きな音に反応して踊りたくなる。マニッシュな踊りが好き。媚びない色気と強さといえばフラメンコ。ジャズダンスは、コミカルで粋でかっこいい。友人と一緒にコミックダンスなるものを踊っていた時期もある。
この公演の見どころは群舞である。ジャズダンスとフラメンコの一番の違いは、ここだろう。本来フラメンコはソロである。ギター、カンテ、バイレ(踊り)の三位一体で、生演奏である。
音源は振付者のセンスがものを言う。今回の音楽は全て好みであった。知っている曲がいっぱいで懐かしい。素敵な音に出会うと踊りたくなる。それは今も変わらない。フラメンコの音楽以外でも踊りたいと思えば、踊ってきた。ジャズ、バイオリン、オーケストラ、三味線、アコーディオン、ピアノなど、ジャンルは問わない。
ジャズダンスからフラメンコへ
なぜジャズダンスからフラメンコへ向かったのか?
ドラマティックなタンゴ音楽に惹かれた。しかし、タンゴは一人で踊れないからあきらめた。しっくりくるパートナーと出会うのは至難の技だし、一人で踊り込みができないのは向いてない(苦笑)
そして、フラメンコの出す打楽器的音、リズム音に惹かれた。サパテアード(足を打つ)、ピト(指を鳴らす)、パルマ(手を打つ)、パリージョ(カスタネット)、アバニコ(お扇子)など。独特で多彩な音達は魅力的である。
そして、群舞が苦手だったのもある。本番のテンションになると違うことをやってしまうのだ。よく言えば即興だが‥。もちろん、フラメンコにも群舞はあるが、スペインから帰国してからはソロで踊っていたし、即興要素の強いフラメンコが性に合っていたのだろう。
とはいえ、ジャズダンスはやっぱり楽しい。今回の公演を観て再確認した。
振り返りの数日間
神田祭、ジャズダンス公演と、大きな刺激とエネルギーを頂き、過去と向き合う貴重な時間を過ごすことができた。好きなことの再確認をしなさい、とでも言われているかのような数日間だった。
今回一番感動したのは、踊り続けて20年30年?のダンサーさん達の身体表現である。年齢を経て、身体の故障も経験しつつ、それでも舞台で踊る身体能力を保ち、楽しんでいる姿である。オレー!としか言えない。素直に素晴らしいって思う。芯の通った柔らかさと軽やかさ、表現力。皺ができても、シルバーヘアでも素敵なのだ。
フラメンコは幾つになっても、踊り方を変えていけば、味のある踊りを踊ることができると思っているが、ジャズダンスはそうはいかないと思っていた。が、それをやってのけたから拍手である。
この公演の翌日、たまたま整形外科の定期検診だったのだが、骨密度検査で数値は爆あがりだった。ドクターはびっくりして治療無しと大喜び。私のカラダの痛みのことなど聞いちゃいない(笑)
カラダのメンテナンスで、もう少しカラダが快適になったら、ジャズダンスのレッスンに行ってみようと思う。友人が「好奇心とエネルギーがありすぎるのかしら??」と心配していたが、フラメンコからジャズダンスに戻ることはない。私の踊りの原点であるジャズダンスを、もう一度体感してみたいだけである。
やってみたいと思った時が適齢期
母は72歳で日本舞踊の「鷺娘」を踊った。その年に脳梗塞で右半身不随になった。鷺娘を踊れて良かったと言っていた。父は85歳までゴルフ三昧だった。二人とも大往生で90歳を越して逝った。父は楽しい人生だったと言っていた。
両親を見送った今、自分を取り戻してる真っ最中である。
こんなにも好奇心が湧き上がってくるなんて、思いもよらなかった。
そして、「和のもの」に向いているのはなぜか?
私の中では、書道は好き嫌いを超えている不思議な立ち位置である。
やってみたいと思ってやってこなかったことを、今、チャレンジしている。
そのおかげで、良い刺激とエネルギーをたくさんもらっている。
フラメンコ教室のキャッチコピー「やってみたい!と思った時が適齢期」は、私にも当て嵌まっている(笑)
「Reborn Ⅱ」この公演を観て、いつでも生まれ変われると背中を押された氣がしている。
フラメンコへのリスペクトと感謝は、生涯変わらない。
私は私である、そこは揺らいでいない。
私は私でありながら、蛇や蝶が脱皮するように、新鮮な自分に出会いたい。
⭐︎「忘れていく私」から、「生まれ変わる私」に移行中だが、「忘れていく私」は生涯変わらないかも(笑)